コーポレート・ガバナンスの状況
基本的な考え方
当社グループは、“「化学の力」で、よりよい明日を実現する。”という企業使命のもと、持続的な成長および中長期的な企業価値向上、透明性や公正性が確保された健全な経営の実現に向けて、次の各点に配慮したコーポレート・ガバナンス体制を構築し、その充実に取り組んでいきます。
- 株主の皆様の権利・平等性の実質的な確保や株主の皆様との建設的な対話に努めること。
- 株主の皆様との建設的な対話などのために有用な財務情報や非財務情報を適切なタイミングに正確かつ分かりやすく開示すること。
- 株主の皆様以外のステークホルダーとの適切な協働に努めること。
- 様々なステークホルダーの権利・立場や事業活動倫理を尊重する企業風土の醸成に向けて、経営陣・取締役会がリーダーシップを発揮すること。
- 取締役会が、独立した立場から経営陣の職務執行に対する実効性のある監督を行い、経営陣によるリスクテイクを支える環境整備に努めるなど、その責務を果たすこと。
ガバナンス強化の変遷
※当図表における役員とは取締役および監査役を指す
独立社外 取締役比率 |
女性取締役 比率 |
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2013年 | 執行役員制度を導入 | 0% | 0% |
2014年 | 任意の報酬委員会の設置 | ||
2016年 | 企業理念を制定 任意の指名・報酬委員会の設置 独立社外取締役1名の就任 独立社外監査役2名の就任 東京証券取引所 市場第一部に上場 コーポレート・ガバナンス報告書を提出 |
14.3% | 0% |
2017年 | 取締役会実効性評価を開始 独立社外取締役1名の増員 |
22.2% | 0% |
2018年 | 役員退職慰労金制度の廃止 業績連動型株式報酬制度の導入 |
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2019年 | 独立社外取締役(女性)1名の就任 | 28.6% | 10.0% |
2020年 | 独立社外取締役1名の増員 独立社外監査役(女性)の就任 コンプライアンス・コードの策定 |
37.5% | 18.2% |
2021年 | 業務執行権限の委譲を拡大 業績連動型株式報酬制度の運用 各種ポリシーの制定 |
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2022年 | 内部統制システムの基本方針の改正 東京証券取引所 プライム市場に移行 |
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2023年 | サステナビリティ委員会の新設 専門委員会・推進会議の見直し |
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2024年 | 監査等委員会設置会社へ移行 独立社外取締役が過半数を占める |
55.6% | 22.2% |
コーポレート・ガバナンス体制図

取締役会
取締役会は、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を促し、適切な企業統治の体制・構築とその運営に努めるとともに、業務執行の意思決定機関として、法令・定款に定められた事項や、その他経営上の重要な事項を決定するほか、取締役の職務執行の監督機関として機能しております。原則として月1回の定時取締役会のほか、必要に応じて臨時取締役会を開催し、迅速な経営上の意思決定を行える体制としております。
2023年の取締役会の主な議題
経営戦略 |
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サステナビリティ |
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コーポレート・ガバナンス、リスクマネジメント |
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役員のスキルマトリックス
(2025年3月25日時点)
氏名 | 役職 | 独立性 | 経営スキル | 執行スキル | ||||||
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企業経営 | 事業戦略 | 財務・会計 | ガバナンス コンプライアンス リスク管理 |
組織・人材開発 ダイバーシティ |
研究開発 イノベーション |
製造 環境保安 品質管理 |
営業 マーケティング |
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髙橋 理夫 | 代表取締役社長 CEO(最高経営責任者) |
● | ● | ● | ● | ● | ● | |||
濵本 真矢 | 取締役 CFO(最高財務責任者) |
● | ● | ● | ||||||
藤間 敏明 | 取締役 CSO(最高戦略責任者) |
● | ● | |||||||
宮入 小夜子 | 社外取締役 | ● | ● | - | - | - | ||||
土屋 淳 | 社外取締役 | ● | ● | ● | - | - | - | |||
菊池 祐司 | 社外取締役 | ● | ● | - | - | - | ||||
高橋 功 | 取締役 監査等委員 |
● | ● | - | - | - | ||||
河合 和宏 | 社外取締役 監査等委員 |
● | ● | ● | - | - | - | |||
田村 恵子 | 社外取締役 監査等委員 |
● | ● | - | - | - |
【各スキル項目を選定した理由】
スキル項目 | 理由 |
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企業経営 | 当社グループの持続的な企業価値向上のための成長戦略を示し、経営を監督する役割を適切に果たすためには、企業経営に関する経験と実績が必要であると考えています。 |
事業戦略 | 事業環境が大きく変化する中、強固な収益基盤を構築し、当社グループが持続的に成長するためには、企業価値を向上させる戦略を策定でき、また新たな社会的価値を創出するアライアンスを構築できる経験と実績が必要であると考えています。 |
財務・会計 | 事業の成長性と収益性を評価し、財務の健全性を維持しつつ、高い資本効率を実現するためには、的確な財務・資本戦略が策定できる財務・会計に関する知識と経験が重要であると考えています。 |
ガバナンス、コンプライアンス、リスク管理 | 経営の基盤として、適切なガバナンス体制を構築し、事業運営にかかるリスクを的確に把握・統制したうえで、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うためには、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントに関する知識と経験が必要であると考えています。 |
組織・人財開発、ダイバーシティ | 経営基盤として、人財の多様性を確保し、社員一人ひとりが個性を発揮し貢献できる組織の構築を通じて、人的資本の強化を図るためには、多様な人財マネジメントと組織文化向上への持続的な取組みに関する知識と経験が必要であると考えています。 |
研究開発、イノベーション | 当社グループの成長力の源泉として新製品、新規事業開発をリードするためには、研究開発、イノベーションに関する経験と実績が必要であると考えています。 |
製造、環境保安、品質管理 | 事業の根幹として、将来に渡ってお客様に信頼される高品質な製品を安全かつ安定的に製造・供給するとともに、環境に配慮し持続的な成長を継続するためには、製造、環境保安、品質管理に関する経験と実績が必要であると考えています。 |
営業、マーケティング | 市場環境の変化を的確に捉え、お客様のニーズや社会の期待に応える付加価値の高い製品を提供し続けることで、当社グループの持続的な成長を実現するためには、市場分析や営業戦略の策定等に関する経験と実績が必要であると考えています。 |
監査等委員会
監査等委員会は、監査等委員である取締役3名(うち2名は独立社外取締役、以下「監査等委員」)で構成されています。監査に関する重要事項について協議を行い、または決議することを目的に、常勤の監査等委員を委員長とする監査等委員会を原則として毎月1回開催し、必要な事項は取締役会へ報告等を行います。
監査等委員会は、監査等委員が取締役会に出席し必要な意見を述べるほか、取締役の職務執行状況を監査するため、常勤の監査等委員を中心に、経営会議等の重要な会議体への出席、代表取締役との定期的な意見交換やCxO・執行役員等業務執行者へのヒアリングを行います。また内部監査部門である監査部との日常的かつ機動的な連携、会計監査人との意思の疎通、さらには重要書類の閲覧等により、必要な情報の収集や監査環境の整備にも努めています。
2024年の監査等委員会の重点監査項目
- 監査等委員会設置会社への移行、CxO体制の導入を踏まえた ガバナンスおよび業務執行の状況
- リスク管理、コンプライアンス等における内部統制システムの有効性
- 安全・安定操業への対応状況
- 第5次中期経営計画の策定プロセス 等
指名・報酬委員会
当社は、取締役および執行役員の指名・報酬等にかかる取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化することを目的に、取締役会の諮問機関として、社外取締役を委員長とし、過半数を社外取締役で構成する任意の指名・報酬委員会を設置しています。指名・報酬委員会は、取締役会から諮問された事項について年間計画を立て活動し、取締役会へ答申しています。なお、指名・報酬委員会の委員長は、社外取締役である委員の中から指名・報酬委員会の決議によって選定しています。
2023年の指名・報酬委員会の主な議題・活動
- 次世代経営幹部の後継者計画・育成計画に向けた部門長・次世代リーダーとの面談、グループ意見交換会
- 役員人事についての検討・答申
- 役員報酬についての検討・答申
サステナビリティ委員会
当社は、取締役会の諮問機関として、最高戦略責任者(CSO)を委員長とし、業務執行取締役およびCxOを委員として構成するサステナビリティ委員会を設置しています。当該委員会は、取締役会または経営会議決議事項、もしくは社長決裁事項等のうち、サステナビリティにかかる事項、その他サステナビリティに関する重要な事項につき、審議、答申およびモニタリングを行います。また委員長は、必要に応じて、専門委員会に対し報告を求めることができます。
経営会議
当社は、取締役会から委任された当社の業務執行に関する重要な事項を決定するため、また取締役会に付議すべき事項の事前審議を行う会議体として、経営会議を設置しています。経営会議は、原則として月1回開催しており、常勤の監査等委員である取締役も出席しています。
内部監査
当社では、社内組織として監査部(4名)を設置し、公正かつ独立した立場から業務執行に係る内部監査および財務報告に係る内部統制の有効性評価を実施しています。監査部では、代表取締役社長および監査等委員会に承認を得た内部監査の基本計画に基づき個別の内部監査を実施し、その結果を代表取締役社長および監査等委員会にその都度直接報告するとともに、取締役会に年2回定期報告しています。また監査部では、監査等委員会および会計監査人と定期的な情報交換等を行うことで相互連携し、監査の実効性および効率性を高めています。
監査等委員会の監査
監査等委員である取締役は3名であり、うち2名が東京証券取引所に届け出る独立社外取締役であります。監査等委員である取締役は、策定した監査計画書に基づき、取締役会及び経営会議その他の重要な会議体へ出席し、また重要書類の閲覧、内部監査部門である監査部との緊密な連携、或いは指示により、必要な情報を収集することで、職務執行状況の監査を実施することとしています。
会計監査
当社は、有限責任監査法人トーマツと監査契約を締結し、会社法及び金融商品取引法に基づく会計監査を受けております。なお、同監査法人は業務執行社員について当社の会計監査に一定期間を超えて関与することのないよう措置をとっております。また、同監査法人及び当社監査に従事する同監査法人の業務執行社員と当社の間には特別の利害関係はありません。
内部統制システム
当社は、会社法及び会社法施行規則 に基づき、取締役会において、以下のとおり「取締役の職務執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団業務の適正を確保するために必要なものとして法務省で定める体制(内部統制システム)整備」を決議し定めております。
役員トレーニング
当社は、毎年、経営層に対して、専門家・弁護士等を招聘し、継続的にトレーニングの機会を設けています。
2019年より、一橋大学の伊藤邦雄名誉教授による役員研修を毎年実施しており、2023年は「KHネオケムの変革に向けて」と題し、人的資本経営や、企業風土改革、資本コスト問題・事業ポートフォリオ経営等をテーマに講演いただき、その後闊達な意見交換を実施しました。
社外取締役へのサポート体制
社外取締役が、独立した立場から適切な監督が実行できるよう、取締役会に付議される議案等については、事前に資料を配布するとともに、事務局や起案部門等から事前説明を行っています。また、経営に関わる重要な情報については、適宜メール等で情報共有を図っています。さらに、新たに就任した社外取締役に対しては、資料や情報を提供し、説明会を開催するなど当社グループの理解を深めていただけるよう努めています。また、定期的に工場や子会社等へ訪問し、現場社員との交流や対話の機会を設けています。2024年より、経営会議において議論された重要事項や取締役会の事前審議の内容について、社内での検討経緯を共有するなど、取締役会における議論の質を向上させるための取組みも始めています。
次世代リーダーの育成
次世代経営幹部の後継者計画、育成計画
当社では次世代経営幹部の後継者計画、育成計画の一環として、全部門長と指名・報酬委員会のメンバーである社外取締役との面談の機会を設けています。2023年6月には、部門長を少人数のグループに分け、「サステナブル経営の推進に向けた重要課題」について意見交換会を実施、10月には部門長との個人面談を実施し、企業価値向上のための新たな方策について議論する機会を設けるなど、指名・報酬委員会のメンバーである社外取締役と積極的にコミュニケーションを図り、今後の次世代経営幹部の後継者計画および育成計画の策定に結び付けています。
役員報酬等
取締役の報酬等の決定に関する方針
取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く)の報酬については、以下を基本方針としています。
役員報酬に関する基本方針
- 中長期的な業績向上と企業価値の増大への十分なインセンティブとなる
- 多様で優秀な人財を獲得できる競争力を有する
- 株主をはじめとするステークホルダーとの利害の共有を図る
この基本方針に基づき、報酬等は、固定報酬と業績連動からなる金銭報酬と、信託型の業績連動型株式報酬で構成しています。報酬等は、株主総会において決議された報酬枠の範囲内で決定することとし、第三者による国内企業経営者の報酬に関する調査等を活用し、適正な水準に設定しています。また、個人別の報酬等について、金銭報酬は、取締役会が、任意の指名・報酬委員会に必ず諮問し、その答申を受け、取締役会決議に基づき委任を受けた代表取締役社長が決定しています。代表取締役社長は、報酬水準の妥当性および業績評価の透明性を確保する観点から、指名・報酬委員会の討議内容に従って決定しなければならないものとしています。業績連動型株式報酬については、あらかじめ取締役会で定めた「役員株式給付規程」に基づき決定しています。なお、社外取締役および監査等委員である取締役の報酬等は、金銭報酬(月例定額)のみで構成しています。
金銭報酬
金銭報酬全体の3割程度を業績連動報酬とし、予算達成率、過去5年平均達成率を用いて算出しています。
業績連動型株式報酬
業績連動型株式報酬は、連結営業利益で黒字を確保した場合に限り、予算達成率を用いて算出しています。業績との連動性をより一層高めると同時に、株式価値との連動性を明確にし、取締役が株価上昇によるメリットのみならず、株価下落リスクまでも株主の皆様と共有し、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めています。
業績連動報酬の指標
業績連動報酬(金銭報酬、株式報酬とも)で用いる評価指標は、当社の事業特性等を踏まえ、連結EBITDA※としています。当社は多くの設備を保有するため、その減価償却費を計算に含むEBITDAは有用な指標と考えています。
※EBITDAは右記の通り算出。EBITDA=営業利益 + 減価償却費 + のれん償却費(営業利益は連結損益計算書、減価償却費およびのれん償却費は連結キャッシュフロー計算書に表示される額を使用)
取締役の報酬体系のイメージ
